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尼崎変死ドラム缶遺体 [法律エッセイ]

社会的耳目を集めた事件でしたが、中心人物が不在の中、判決が出たようです。精神鑑定の結果、心神喪失という見解が示されたようでしたが、裁判所は,医学的見解も斟酌した上、法律的観点から責任能力を判定したものと考えられます。責任能力は是非善悪を弁別する能力とこれに従って行動を統御する能力が要求されますが、本件では行動統御能力が問題になったと思われますが、裁判所は法的には行動統御能力は失われていなかったと判断したと思われます。求刑自体が蟇目ですので、心神耗弱を前提とした起訴かも知れませんが、裁判所がこれを認定したかどうかは現時点では不明です。

 

 


2013-10-31 11:43  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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「私は負けない」村木厚子著 中央公論社 [法律エッセイ]

発売日に購入し,読了しました。関係者が全て実名で登場し、取り調べの詳細な内容も記載されています。実際に偽造した上村さんと村木さんの対談も読みごたえがあります。その後、発展した犯人隠避事件の評価とも関連しますが、犯人隠避事件で被告人とされた方が取り調べの可視可を求めたことが全てを物語っています。興味のある方は是非購入して読まれたらよいと思います。


2013-10-31 09:38  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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みのもんたの次男の窃盗事件 [法律エッセイ]

みのもんたの次男が再逮捕後、事実関係を認めたと報道され、その理由として弁護人の戦略によるものであると言われています。当初の窃盗未遂は、キャッシュカードを使用しての預金引き出しにかかるものであり、その実行の着手すなわち未遂になるか否かは、預金引き出しの意思をもって残高照会をすることで足りるというのが判例です。コンビニのATMにキャッシュカードが置かれており、自分のものであると思って残高照会したという弁解が通るかが判断の分かれ目でした。キャッシュカードには名義人の名前が記されており、これを見落としたというのであれば合理的理由が必要です。次に打ち込んだ暗証番号が問題です。自分のキャッシュカードと誤信したのであれば、自分の暗証番号を打ち込んでいるはずです。したがって、自分の暗証番号を打ち込んでいない時点で、被疑者の弁解は崩れます。証拠関係はわかりませんが、打ち込んだ暗証番号は調べれば分かりますので、弁護人としてはその点をきちんと聞くべきでしょう。この手の事件は、被疑者の弁解を受け容れてもらえるかどうかにかかっておりますが、これを突き崩す証拠関係は極めてシンプルです。暗証番号が出鱈目であれば、キャッシュカードを自分のものだと見誤ったという弁解も雪崩を打って崩壊します。訴追側としては、上記証拠が揃っており、被疑者が否認していれば、あとは事件の全体を概観して、やる気を起こせばなんの躊躇もなく起訴します。常習でなくとも仮睡盗に容赦はありません。ふわっとした民意ではありませんが、酔ったはずみでやったことで本人もよく覚えていないと言っているから証拠も薄いと即断するのは危険です。また、とりあえず20日はチキンレースのように考えて、釈放になるかどうかやってみるという判断も時として墓穴を掘ることがあります。今回の事件がそれであるかどうかは分かりませんが、本件については、20日間不合理な否認を続け、その後かれこれ利益を斟酌して自白したという事実は相当心証が悪いという結論を導き出します。どうせやるなら40日間戦うべきだったでしょう。未遂の方を未だ否認しているかどうかはしりませんが、仮に否認していたとしても無駄なことであり、さらに心証を悪化させるだけでしょう。


2013-10-03 12:52  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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免訴 [法律エッセイ]

他人の物を不法に領得すれば横領罪です。懲役5年以下の刑に処せられます(刑法252条1項)。この罪の公訴時効は、5年なので、横領したときから5年以内に公訴提起しなければ時効となり(刑事訴訟法250条5号)、起訴しても免訴という判決を宣告して裁判は終了です(刑事訴訟法337条4号)。横領した人から物を貰い受けたりすると、盗品譲受け等の罪になり、懲役3年以下の刑に処せられます(刑法256条1項)。そして、公訴時効は、さらに短くなり3年です(刑事訴訟法250条6号)。

事案の概要は以下のとおりです。

ある人が被告人にお金の持ち逃げをすることの誘いをかけました。被告人は、それに対し、明確に承諾することもなく、具体的な取り分の話をすることもなく聞いていました。事件当日、ある人が集めたお金を持ってその場から離れたので、被告人は、「やはり持ち逃げするんだ。」と思ってその人について行きました。その人は、被告人に横領したお金を半分渡してくれました。被告人は、そのお金を持って路上生活に戻りました。このお話は、平成21年のことでした。

ある人と被告人は、生活保護者を集めて集団生活させ、生活保護費のほぼ全額を寮費名目で徴収するNPOの施設に入居していました。被告人らは生活保護費から5000円だけを小遣いとして与えられ、毎日無為徒食の生活をしていただけでなく、被告人のおいては寮のまかないも無報酬でやらされていました。いわゆる貧困ビジネスというものです。そのため、被告人は、生活保護者の生活保護費支給日に他人の生活保護費を施設に代わって集めていたある人と一緒に寮から逃亡し、その過程で上記のとおり事情を打ち明けていた関係から横領金の半分に少し欠ける金員を受け取って路上生活をしていたところ、事件から4年目に逮捕され起訴されてしまったのでした。横領したその人は今も行方不明です。ある人が横領する意図で通常の経路から離れた時点で横領の実行の着手があり、それと同時に実行行為は終了します。それ故、被告人がある人に付いて行った時点で横領罪は既遂となってしまっているので、その後のお金の分配は盗品譲受け等の罪にしかなりません。そして時効期間は3年なので、平成21年の事実を平成25年に起訴した時点で時効完成です。罪が認められても免訴判決となります。

捜査検事には、上記事情をきちんと調べてくれるよう申し向けましたが、自白とは言えない供述を自白と誤認し、本犯者もいないまま被告人のみが起訴していました。被告人は、横領された被害者の1人と交友があり、その人のアパートにも寝泊まりさせてもらっていました。その被害者は、警察の調書で「あの件はとっくに終わっていたはずですが、きちんと罪を償って戻ってきてほしい」というような内容の供述がなされており、全く同感です。この調書を読んで起訴検事は何も思わなかったのでしょう。発想が貧困です。最近こういう検事が多いです。ロースクールのいびつな教育が自由な発想を阻害しています。私は、上記経緯を踏まえ、無罪主張ではなく、免訴の主張をする予定です。新人の検事でもありませんが、時効及びそれにまつわる事実関係に対する配慮の欠けた事件処理は必ずしっぺ返しがくるということをこれから法廷できちんと教育して差し上げるつもりです。


2013-08-26 17:02  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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低身長などの子どもの成長期の治療の専門医院の新堀クリニックが診療を再開しました。 [法律エッセイ]

低身長の子どもに有効な治療を専門的知見に基づいて施してきた新座市の新堀クリニックが診療を再開しました。

これまでどおりの診療内容で診療を再開しております。
自分の子どもが普通より成長が遅いと感じたら是非新堀クリニックにご相談下さい。
きっと納得の得られるアドバイスや診療が受けられるはずです。
当事務所も全面的に応援しております。


2013-05-22 22:27  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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志木市の工事代金水増し詐欺事件 [法律エッセイ]

現在、タイトルの事件につき、共犯とされている工務店の社長の依頼を受けて弁護を引き受け、5月7日に処分保留で釈放となりました。

事案は、志木市役所の職員が水増しした工事費を計上し、同工事がそのまま施行されたものとして工事代金を工務店に振り込ませ、正規の工事代金と水増しした工事代金の差額を工務店社長から受け取っていたという事案です。
差額につき、客観的には市役所の職員が遊興費に費消していたようです。
問題は、工務店の社長です。詳細は捜査中ですので、詳しくは申し上げられませんが、工務店の社長は、差額について、当該職員から「市役所の備品等の購入に流用したいので市に戻してほしい。」と言われ、これに応じていたというのが真実です。詐欺の被害者は志木市です。いったん出たお金が職員を通じて被害者である志木市に戻っていたものと思っていた工務店の社長に詐欺の犯意を欠くことは明らかです。よって、工務店の社長は嫌疑不十分ということになります。ところが志木市の職員については、工務店の社長との共謀で公判請求がなされています。このように対象となる人物ごとに認定が分かれることは実際上はあり得ます。今回の事件においては事件の構図を掴みきれず、事件を見切ることができなかったので、暫定的に共謀の訴因構成をしたと理解します。
しかし、そうなると、志木市の職員は、工務店の社長との共謀訴因で起訴されていることで責任が軽減されたかのような錯覚を起こし、裁判ではそのまま訴因を認める可能性があります。こうなるとある人については犯罪の成立を認め難いので不起訴になっているのに、違う人の裁判では共犯者扱いになってしまいます。
この事件に関心をお持ちの関係各位は上記のような事実関係があることを認識して欲しいと思います。
工務店の社長は共犯者に騙されていたのです。潔白です。


2013-05-10 00:21  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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思春期内科医の準強制わいせつ被告事件 その後 [法律エッセイ]

上記タイトルの事件は昨年12月に起訴になりました。起訴決裁も杜撰でしたが、上司は皆栄転し、無関係になりました。切れる決裁官は100人に1人もいないのですが、さいたま地検には人材がおりませんでした。起訴後、当職は、速やかに公判前整理手続きを申し立てました。裁判所も事件の性質上あるいは職務経験上熾烈な争いになると直感したらしく、当職の申し立てを速やかに受け容れてくれました。公判前整理手続きとは、裁判員裁判を目して定められた制度ですが、それに限定されるものではなく、複雑困難な審理が予想される事件などにおいて、公判前に争点を明確にする手続きです。検察の証拠隠しを防止する手段でもあります。検察官請求証拠の開示、類型証拠(検察官請求証拠の信用性を吟味する証拠)の開示が行われ、さらに弁護側の検察官請求証拠に対する認否、予定主張書面提出、予定主張関連証拠の開示請求がなされた時点で保釈請求をしました。平成25年4月2日、さいたま地方裁判所は、被告人を保釈する旨の決定を出しました。これに対し、検察は準抗告を申し立てましたが裁判所はこれを棄却し、被告人は釈放されました。この間、起訴前に判明していた被害者供述の信用性を滅失させる証拠が検察官請求証拠に存在することが判明したほか類型証拠開示の過程においても同様の物証を発見することができました。保釈許可決定に対する準抗告に際しては、「検察官の起訴は妄想に基づく心証をよりどころとした起訴であり、本来勾留さえ認められない事件である。」と書き起こし、「検察官の主張は、崩壊した証拠構造に狼狽する余り、荒唐無稽な主張をしているに過ぎない。」と締めくくり、そのまま検察の準抗告は棄却となりました。今後は4月22日に打ち合わせ期日があり、その後、検察が予定主張関連証拠の開示請求に回答するなど証拠と争点が絞られ、裁判は進行していきます。既に開示された証拠から有罪認定は困難な状況下であることは当事者皆認識しているところであり、今後、検察が如何に証拠を変容させてこじつけの立証をしてくるのか、これに対し、どのような対応をすべきかが腕の見せ所になります。クリニックはまもなく再開します。どうしようもないことで低身長の治療を中断させられた患者さんやその親御さんはある意味被害者ですので、今後の裁判を見守ってほしいと思います。


2013-04-03 10:56  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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思春期内科の準強制わいせつ事件 [法律エッセイ]

先日、ブログに書いた事件の経過ですが、証拠関係から被害者供述に重大な疑義があり、逆に被疑者の主張が強力な裏付けを得た状況下において、なお、検事のみが苛烈な取り調べをしているようです。警察は既に店じまいにかかっています。もっとも悪いパターンが検事の無知による起訴ですが、さいたま地検次席検事の森悦子氏の証拠を正当に評価した正しい決裁を期待するのみです。


2012-12-05 18:58  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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思春期内科医が不当な逮捕に苦しめられています(準強制わいせつのえん罪事件) [法律エッセイ]

現在受任している事件に、思春期内科の医師が診察中にわいせつ行為に及んだという刑事事件があります。この事件は、思春期内科を診療科目として掲げ、二次性徴異常や思春期成長障害や思春期早発症の治療実績のある医師が性ホルモン分泌異常の疑いをもって少年を診察し、睾丸の成長度などをみるために性器を触診した際、少年が射精したことについて、準強制わいせつの疑いをかけられているものです。もちろん、この医師に同性愛の趣味も小児性愛の趣味もありません。警察は、本件の医師の診療内容につき、上記のような治療実績があることなどを強制捜査着手前には把握しておらず、そももそ性器に対する触診自体をあり得ない弁解と捉えていました。また、長期間捜査した割には、被害者とされる少年の供述の問題点となるべき事実(敢えて割愛します。)を十分捜査しないまま強制捜査に突入しておりました。現在は、それぞれ上記問題点は把握しているようです。問題は、担当検事です。検事は、触診等の必要性は認めるような節があるものの、「射精までさせたんだから言い逃れできない。」というような見解であり、患者が服を脱ぐ時点から勃起状態であって、終始勃起状態のまま触診を終えて、別の作業に移ろうと医師が目を離したところ、患者がベッドの上で射精をしたなどという被疑者の語る事実には全く耳を傾けようとしません。触診前の写真が残存しており(成長度合いを見るための写真撮影)、その時点で既に勃起している状態であったことは明らかであり、そのような状況下にあったことを認識しているにも関わらず、「そんなの関係ない。」という態度です。このような取り調べには、双方の供述の信用性を吟味するという姿勢が全く欠如しており、端的に言えば「被害者がそう言っているからそれは事実だ。」と決めを打っているだけで、真相の究明、真実の探求とはほど遠いものがあります。そういう態度に起訴権限を与えると、ほとんど捜査の必要性はなく、ただ単に警察で作成した被害者の供述調書をカーボンコピーするだけで済みます。それではわざわざ司法試験を合格した人を採用する必要はなく、ただ単に罵詈雑言を浴びせるのが特異な人か声が大きな人を採用すればいいことになります。実際、私が現役のとき、逮捕から1週間以内で被害者の検事調書を作成した方がおりましたが、内容は、警察官の調書の引き写しであり、その長さから午後の取り調べでは到底作成しえない長さでした。つまり、一心不乱に警察の調書をワープロで打ち直し、かつ、脚色していたのです。もちろん、公判では多いに事件に至る経緯において紛糾しました。

思うに、昨今の検察の不祥事が露見し、検察のあり方会議などが開かれて、検察庁のホームページに大言壮語しておりますが、全く組織も個人も変わろうとしないなというのが素直な感想です。
ですから国民の皆様は、政府が何か変革をもたらすと期待したら間違いです。変革は自ら起こさなければなりません。自分が変わらなければなにも変わりません。

深夜になり、疲れもピークに達してきました。
ただ、私は、思春期内科に日夜精励している医師が10フィートの地獄にいることが耐えられないのです。
もし、このブログを読んだ医療関係者の方で、思春期内科等本件にあたって身につけるべき智慧を授けてくださる方がおりましたら、是非、当事務所までご連絡くださるよう伏してお願いするのみです。


2012-11-27 02:07  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
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検察審査会 [法律エッセイ]

小沢一郎の政治資金規正法違反被告事件が東京高裁でも無罪になりました。事実認定は1審よりさらに後退し、検察の捜査そのものが妄想に基づくものであり、検察審査会の起訴強制が虚偽の捜査報告書等に誘導された不正なものであることが暗示されました。当職も検察審査会には何度かお世話になっていますが、その審査内容については、疑問を呈せざるを得ない経験をしています。現在、検察起訴強制が法定されたことから、審査補助弁護士が検察審査会に立会することになっていますが、バイアスのかかった、あるいは刑事事件を扱ったことがなく、被害者側に活路を求めるような弁護士が審査補助に立ち会っても今回のような不正な決議に基づく不毛の裁判がなされるおそれがあります。検察審査会は、裁判所の管轄であり、ある意味で裁判所の恣意的な意思の反映であることがあります。それは、時によっては本件のようなマスコミや他の政治的勢力の政治的判断を忖度したものであることもありますし、時によっては、被害者も加害者も関係のない、自分たちの事務処理の都合で素人の検察審査会メンバーを適当に誘導して自己に都合のよい結論を導くこともあります。現に、詐欺で不起訴のなって事案において、告訴人も主張していなかった横領の事実を勝手に認定して時効完成を理由に不起訴相当にした裁判所もあります。このような例は後者の例ですが、クジで選ばれた人たちがどのような説明を受けたのか理解できません。おそらく何の説明もなく、検察審査会事務局の提示した解答に従ったものでしょう。この一事をもって、検察審査会に起訴強制権を持たせることには大いに疑問に思っていましたが、その疑問が今般現実のものになったのです。制度設計に関わった学者さんには申し訳ありませんが、実務の実情を知らなさすぎです。


2012-11-13 11:06  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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