向(き)合う [言葉]
ちまたで最近よく聞く言葉に、「向き合う」がある。
「犯罪と向き合う」、「病魔と向き合う」、「死と向き合う」などであるが、嫌いな言葉です。
辞書を見ると、向き合うとは、たがいに前を向いて相対する。向かい合うとあります。
前を向いて相対するというのが建設的かつ積極的なイメージを与えるのだろうか。
決してそういうイメージで向き合いたくない対象に対しても使用が多用されている。
病気や犯罪が前を向いているというイメージはとうてい浮かばないのだが。
おそらくそういうものに対しても自己が積極的に立ち向かっていっているんだぞということを表現したいのだと思えるが。
向き合いたくないものにもプラス思考で行くと体によくないと思う。
逃避もひとつの手段です。
おそらく近年とみに風潮となっている個の尊重と自分さえよければという考え方の混同の一例と思われるが、これもやっかいである。
まあ、しかし、言語はこういう風に永の年月を経て意味が変貌して行くと言わざるを得ないのも事実である。