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思春期内科医の準強制わいせつ被告事件 その後 [法律エッセイ]

上記タイトルの事件は昨年12月に起訴になりました。起訴決裁も杜撰でしたが、上司は皆栄転し、無関係になりました。切れる決裁官は100人に1人もいないのですが、さいたま地検には人材がおりませんでした。起訴後、当職は、速やかに公判前整理手続きを申し立てました。裁判所も事件の性質上あるいは職務経験上熾烈な争いになると直感したらしく、当職の申し立てを速やかに受け容れてくれました。公判前整理手続きとは、裁判員裁判を目して定められた制度ですが、それに限定されるものではなく、複雑困難な審理が予想される事件などにおいて、公判前に争点を明確にする手続きです。検察の証拠隠しを防止する手段でもあります。検察官請求証拠の開示、類型証拠(検察官請求証拠の信用性を吟味する証拠)の開示が行われ、さらに弁護側の検察官請求証拠に対する認否、予定主張書面提出、予定主張関連証拠の開示請求がなされた時点で保釈請求をしました。平成25年4月2日、さいたま地方裁判所は、被告人を保釈する旨の決定を出しました。これに対し、検察は準抗告を申し立てましたが裁判所はこれを棄却し、被告人は釈放されました。この間、起訴前に判明していた被害者供述の信用性を滅失させる証拠が検察官請求証拠に存在することが判明したほか類型証拠開示の過程においても同様の物証を発見することができました。保釈許可決定に対する準抗告に際しては、「検察官の起訴は妄想に基づく心証をよりどころとした起訴であり、本来勾留さえ認められない事件である。」と書き起こし、「検察官の主張は、崩壊した証拠構造に狼狽する余り、荒唐無稽な主張をしているに過ぎない。」と締めくくり、そのまま検察の準抗告は棄却となりました。今後は4月22日に打ち合わせ期日があり、その後、検察が予定主張関連証拠の開示請求に回答するなど証拠と争点が絞られ、裁判は進行していきます。既に開示された証拠から有罪認定は困難な状況下であることは当事者皆認識しているところであり、今後、検察が如何に証拠を変容させてこじつけの立証をしてくるのか、これに対し、どのような対応をすべきかが腕の見せ所になります。クリニックはまもなく再開します。どうしようもないことで低身長の治療を中断させられた患者さんやその親御さんはある意味被害者ですので、今後の裁判を見守ってほしいと思います。


2013-04-03 10:56  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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