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逮捕されたら [法律エッセイ]

警察は、被疑者を逮捕すると、留置の必要がないと思料する場合以外は、48時間以内に書類及び証拠物とともに身柄を検察官に送致します(刑事訴訟法第203条)。法の建前は、警察限りで釈放する場合を定めていますが、実際は、勾留するか否かを検察官の判断に委ね、ほぼ一律送致します。逮捕中釈放は事例としては極めて少数です。検察官は、逮捕された被疑者を受け取ったときは、釈放または勾留請求の判断をします。タイムリミットは24時間です。先日、ある事案で被疑者が逮捕され、当職に当番弁護が回ってきました。そのままでも釈放になるか10日間の勾留が付くか微妙な事案でした。家族にはその旨十分説明し、「弁護士費用は結果的には高い保険になるかも知れないけれど、週明けから正常に出勤できる可能性があります。このまま検察の判断に委ねても釈放になる可能性もありますが、勾留が付けば月曜日からの出勤は不可能になります。」と説明し、事件を受任しました。そして、内縁の妻の身柄引受書等を添付した釈放要求の意見書を日曜日の朝に提出したところ、午後には釈放になりました。被疑者は、会社の携帯電話を押収されていました。事案から考えて押収の必要性に疑問がありました。ところが被疑者が釈放になってしまったので、担当警察官は面倒くさがって「携帯電話の中身を精査するのに時間がかかる。」と言って直ちに返還しませんでした。そこで、当職が検察官に事情を話し、直ちに返還するよう指示を出してほしいと依頼したところ、その日の午後には携帯電話を返還する旨の連絡が依頼者のところにありました。依頼者の方は携帯電話の返還まで何日もかかるとその直前まで警察に言われて憤慨しておりましたが、手のひらを返したように返還連絡が来たことに驚いていました。私が事情を話すと大変納得していました。弁護人選任に関しては依頼することのメリットをよく聞いて判断して下さい。やたらに不安を煽る法律事務所は危険です。なお、依頼者は土日夜間対応の法律事務所に何件か電話していましたが、電話そのものが通じない事務所や多忙を理由として相談自体を受け付けなかった事務所が複数埼玉弁護士会会員の中にいたことに疑問を呈しておりました。その経緯も当職がきちんと説明しました。


2015-05-19 10:08  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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